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2012年8月 5日

6月の個展の時に書いた作品解説

6月のアートフロントギャラリーでの個展の時に書いた作品解説を一応自分のブログにもコピーしておきます。
元の文章はアートフロントギャラリーのブログです。

阪本トクロウ「遠景」展、作家の解説



<過去の作品との比較、解説及び今回の展覧会に対する考えや制作における試み>


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「呼吸」 アクリル絵具、高知麻紙、1940×1303mm、2012年



「呼吸」(2012)は、グレーと白のストライプだけで作られた作品ですが、これを観た人は横断歩道だと想像してしまうと思います。いつも人の持っている記憶を利用して作れないかと考えていて、見たものを出来るだけそのまま明快に画面に定着出来たらと思っています。

また、作品に使うモチーフは「どこにでもあるもの」というルールを決めており、私の生活の中で記憶に自然と入ってきているものです。



同じモチーフで別の構図の作品「呼吸」(2007)を2007年に制作しました。同じように明快に形を取りだしたものですが、構図や比率のようなことをかなり考えて描いたものでした。

この作品の後に、「地図」や「バード」などの別のシリーズを制作していました。これらは画面全体を使ったオールオーバーな画面を試したものでもありました。

このような作品を制作した経験があり、本展の作品では構図という問題も私の中で飛び越えることが出来たと思っています。

「地図」という作品は福田平八郎の「漣」を思い浮かべながら地と図で作っていったものですが、それと同じような視点を意識して作った作品が本展の「呼吸」でもあります。



展示している他の作品も同様ですが、現在生きているこの世界をどのように見ているのか、という視点や眺めが表れるような作品になればと思っています。


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「呼吸」 アクリル、雲肌麻布、1000 ×1000mm、2007年

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「地図」アクリル、麻紙、606 ×910mm、2010年



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「バード」アクリル、白麻紙、970 ×1620mm、2010年



<展覧会タイトルについて>



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「山」アクリル・高知麻紙、1033 ×729mm、2012年



今回の展覧会タイトルに「遠景」と付けた理由はいくつかあります。

遠景とは遠くの景色のことですが、遠くを見る時と近くを見る時の目の焦点の合わせ方は漠然と見たり、ジッと見たりといったように異なります。遠くを見るような茫洋とした視線と距離感を意識して作っているのが私の作品と言えます。



また、作品には鑑賞者以外に人物はいないのですが、人物の背景や輪郭の外側の風景を描いているという意識も制作していくうちに出現してきました。

作品に自分や自分の個性を描くことは無いのですが、外側の背景を描けば自分の輪郭は自然と浮かび上がってくるものだとも感じています。



以前から作品は、何も描かれていない空白部分に目が誘われるように作ってきました。 その空白部分は「空っぽ」になる時間を過ごしてもらうためでもあります。

何も考えていないほんの一瞬の時間ですが、私は感覚的には永遠の時間のように感じられるのです。

その感覚は人が遠景を見る時と似ている状態だと思いました。


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「エンドレスホリデイ」アクリル・雲肌麻紙、320 × 900mm、2010年


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「呼吸」アクリル・高知麻紙、1400 × 1400mm、2012年



<夜景をモチーフにした作品の解説>



夜景をモチーフにした作品はここ数年少しずつ枚数を重ねてきました。

「夜景」(2011)は、東京で宿泊する機会がある時にいつも使っていたホテルの部屋からの眺めです。

2011年の作品では光の煌めきと空の広さで画面は作られていて、建物の物質感は描かず、光とその反射光だけで都会の夜が描かれたものです。

今展ではその街の光の点が画面全体に散らばった作品を作りました。反射光も描かず、ぼかさず、黄色みのある白と明るい黒の2色だけで描きました。近くで見たら白い点があるだけで風景には見えないようなものです。



今展で意識していたことは少ない要素で作り、リアルさと純粋さが際立つような画面にすることでした。

自分を入れず、絵を作らず、要素だけを抜き出して描くことが出来た作品になりました。


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「夜景」アクリル・雲肌麻紙、727 × 500mm、2011年


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「夜景」アクリル・雲肌麻紙、450 x 1250mm、2012年

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